これは自信を持って言える。
美味しいものと、そうでもないもの。
香りの重なり。
甘味の奥にある塩気。
食感のちょっとした違い。
わりと、わかる。
けれど料理は下手である。
神様はどうやら、
「味がわかる」と「味を作れる」を
別売りにしたらしい。
特にパスタを作るとき、
私は料理人ではなく探検家になる。
冷蔵庫を開けて、
「君、パスタに入ったことないよね?」
という食材を見つけると、
なぜか入れたくなる。
昨日まで平和に暮らしていた食材が、
突然フライパンへ徴兵される。
そして完成した料理には、
無駄に文学的な名前をつける。
たとえば、
『夕暮れの森で迷子になった茸と、孤独なベーコンの再会』
長い。
メニュー表なら料理が来る前に日が暮れる。
しかも食べてみると、
普通にきのことベーコンのパスタだったりする。
たまに失敗すると、
『春を待てなかったトマトの憂鬱』
などと名づける。
料理の失敗を文学で隠蔽している。
けれど、私は思う。
料理が上手な人だけが、
台所を楽しんでいいわけではない。
人生だって、
知っている材料だけで作っていたら、
知っている味にしかならない。
「これ、合うのかな」
そんなものを少し混ぜたところから、
新しい味は生まれる。
人間もたぶん同じだ。
知らない仕事。
知らない土地。
知らない人。
少し怖いものを、
人生という鍋へひとつ入れてみる。
美味しくなる保証はない。
盛大に失敗して、
二度と作らない可能性もある。
でも、ときどき。
「なんで今まで誰も入れなかったの?」
という組み合わせに出会う。
私は、そんな働き方にも出会ってみたい。
山でも続けられて、
静かに考える時間があって、
知らない誰かの経験と、
私の知らない知恵を交換できる仕事。
もし、そんな生き方を知っている人がいたら、
ぜひ私の人生のフライパンに入ってきてください。
大丈夫。
たぶん炒めません。
まずは、ご一緒に紅茶を飲みましょう。
そして、
まだ名前のない人生へ、
無駄に文学的な名前をつけましょう。
🌹
未知パスタ
入れてから知る
君だれだ
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17:00~翌2:00


















