私も以前、
自分の中にある汚い感情に負けたことがあります。
腹が立ったから。
寂しかったから。
傷つけられたと思ったから。
そんな理由を並べて、
私は誰かを、故意に傷つけた。
言わなくてもよかった言葉を言った。
しなくてもよかったことをした。
そして不思議なことに、
相手を傷つけたはずなのに、
最後まで胸の中で血を流していたのは、
自分でした。
ひとりになるたび思いました。
もう泣きたくない。
お願いだから、
明日はもう泣かない人間にしてください、と。
ずいぶん身勝手な祈りです。
人を傷つけた人間が、
自分だけ泣かずに済もうなんて。
けれど神さまというものがいるなら、
たぶん、そんな格好の悪い祈りまで
聞いているのでしょう。
私は今日も泣きます。
たぶんこれからも。
もしかすると、
死ぬまで何かの拍子に泣くのでしょう。
昔のことを思い出して。
言えなかった「ごめんなさい」を思い出して。
あの日の自分を思い出して。
それでも私は、生きています。
これは、とても不思議なことです。
人間は、自分を完全に好きになれなくても
朝になるとお腹がすく。
ものすごく反省していても、
プリンを見ると少し嬉しい。
人生というものは、
こちらの深刻さを完全には尊重してくれません。
「私は罪深い人間なのです」
と床に伏していても、
お腹は平然と、
ぐぅ。
と言う。
少し腹が立ちます。
けれど今では、
それが救いなのかもしれないと思います。
命は、こちらが自分を赦すより先に、
黙って生きようとしている。
心臓は、
「昨日の件について会議をしますか」
なんて聞きません。
ただ動いている。
息も、
「あなたは善人ですか」
なんて審査しません。
ただ入ってきて、
また出てゆく。
もしかすると命は、
最初から私たちに言っているのかもしれません。
生きる資格というものは、
生きながら証明するものではない。
と。
だから、
これを読んでいるあなたにも伝えたい。
あなたも、赦されていい。
もちろん、
傷つけたことが消えるわけではありません。
謝れるなら謝ったほうがいい。
償えることなら償ったほうがいい。
二度と繰り返さないように、
自分を見つめたほうがいい。
でも、
一生自分を殴り続けることを
償いとは呼びません。
償いは相手に伝わっていることが大切。
自分を殴るのは、ただ、
もう一人傷つく人間を増やすだけです。
あなたという人を。
人は感情に負けます。
嫉妬します。
憎みます。
間違えます。
ひどい言葉を吐くこともあります。
それでも、
間違えた人間には、
その後を生きる権利があります。
むしろ、
その後をどう生きるか。
そこからが、
あなたの物語なのだと思う。
もし今、
「この涙を止めたい」
と願っている人がいるなら。
死ぬほど苦しい時間を
越えることはあるでしょう。
けれど、
死ななくていい。
私はあなたを止めたい。
あなたが、
大切な誰かの手首をつかんで、
「そっちじゃない」
と言うように。
名前も知らないあなたの袖を、
私は文章の端っこで
そっとつかんでいたい。
行かないで。
涙を止めなくていいから。
泣いたままでいい。
立派じゃなくてもいい。
笑えないなら笑わなくていい。
どうしても社会が怖い日は、
少しくらい仮面をかぶってもいい。
「元気です」
という仮面。
「平気です」
という仮面。
「今日はちゃんと人間です」
という、少々なにか見えてる仮面。
そして家に帰ったら、
外してしまえばいい。
仮面の下で泣いているあなたも、
あなたです。
泣いているから弱いのではありません。
涙というのはたぶん、
心がまだ石になっていない証拠です。
私は昔、
もう泣きたくないと思いました。
今は少し違います。
泣いてもいい。
ただ、
泣いたあとに
もう一度紅茶を淹れられたらいい。
窓を開けられたらいい。
誰かに優しくできたらいい。
昨日よりほんの少しだけ、
傷つけない人間になれたらいい。
それで十分なのかもしれません。
そう思わなければ生きるのは難しい。
人生というものは、
汚れなかった人だけが歩ける
白い道ではないから。
転んで、
泥だらけになって、
ときには誰かに泥を跳ねさせてしまって、
それでも、
ごめんなさいと言いながら
歩いてゆく道なのでしょう。
だから私は、
申し訳なさも持っていきます。
後悔も持っていきます。
涙も持っていきます。
全部捨ててから
幸せになろうとは、もう思いません。
そんな日はたぶん来ないから。
悲しみの入った鞄を背負ったまま、
小さな花を見つけて笑えばいい。
罪悪感の隣に、
幸福を座らせてもいい。
人間の心は狭そうに見えて、
案外、
そのくらいの相席はできます。
あなたは、
あなたのために生きていい。
誰かに認めてもらうためではなく。
過去の自分を罰し続けるためでもなく。
これから出会う、
まだ名前も知らない誰かに、
いつか優しくするために。
そして何より、
今日ここにいる
あなた自身を、
これ以上ひとりぼっちにしないために。
泣いていていい。
泣きながら歩けばいい。
涙で前が見えない日は、
ゆっくり歩けばいい。
それでも朝は来ます。
そして、あなたが生きている限り、
物語にはまだ、
次の1行があります。
私はその1行を、
あなたに書いてほしい。
上手じゃなくていい。
美しくなくていい。
たった一言でいい。
「今日も、生きた。」
それだけでいい。
本当に、それだけでいいのです。
🌹
泣きながら
紅茶をいれたら
湯気わらう
#お礼日記 #雑記































































































































































































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